染色とはアパレル資材全般に用いられる手法で、生地やテープや紐に着色したいときに行われます。他にも、繊維の元となる糸やボタン、革なども染色することで色を付けます。染色するのに使われる染料や様々な手法があり、染色する対象に適した方法にて行われます。これから染色の手法、染料の種類、どのようなものがその方法に適しているかなどを解説していきたいと思います。
染料の種類
直接染料・・・主にセルロース繊維を染色するのに用いられる染料で、染料を水に溶かして加熱して染色します。仕組みとしては、染料のアミノ基やヒドロキシ基が繊維分子中のヒドロキシ基と水素結合がされることで染着します。染色の方法は簡単で、染料も安価になりますのでこれだけ聞くととても良い染色方法に思いますが、短所もあります。それは湿潤堅牢度が低いことです。濃い色の染色には向いておらず洗濯などをこまめにする物などですと色落ちの原因になります。
反応染料・・・繊維の高分子と化学的に反応して、共有結合(強い結合)で染着する染料をいいます。反応染料の反応基(トリアジン系、ピリミジン系、ビニルスルホン系等)と色素母体がセルロース繊維のーOH基と結合することで染着します。強固な結合になりますので湿潤堅牢度も高く、染め上がりも鮮やかになるのが特徴で、現在では直接染料から反応染料のが最も多く使われる染料としてシフトしてきています。ただ塩素堅牢度の低い染料が多いので塩素系漂白剤などの使用環境などがある場合には注意が必要になります。
硫化染料・・・染料分子内に多くの硫黄結合を含む水不溶性染料で、硫化ナトリウムで還元して水溶性のロイコ塩とし、繊維に吸着させます。塩素漂白に弱く、高濃度での染色では保存中に不安定に結合した塩生から硫酸が生成され、繊維を著しく脆化させます。主に染着する対象は綿や麻などの植物繊維になります。
酸性染料・・・酸性浴で羊毛、絹、ナイロンなどに染着性をもっている染料でセルロース繊維にはほとんど染着性はありません。染着される仕組みとしては、染色構造中にーSO₃⁻基(陰イオン)があり、繊維中のーNH₃⁺基(陽イオン)とイオン結合することにによります。染料分子の構造によって均染タイプとミリングタイプに分けられます。均染タイプーその名の通り水溶性が高く均一に染まりやすい染料です。しかし繊維への親和力は強くなく堅牢度は落ちる、ミリングタイプは均染タイプよりも湿潤堅牢度が高いが均染タイプに比べて染ムラがでやすい傾向にあります。
カチオン染料(塩基性染料)・・・カチオン染料はアクリル繊維の染色に対して主に使われ、アクリル繊維の他にはアニオン改質されたポリエステル繊維やナイロン繊維などの染色に用いられます。特徴してはアクリルが鮮やかに染まり、堅牢度も良好です。以前は塩基性染料として合成染料モーブというものが使われており、絹や羊毛を染めるのに使われていましたが堅牢度が低く現在ではあまり使われていない旧タイプの染料となっています。